少女ヴィーラの憂鬱

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少女ヴィーラの憂鬱·1

少女ヴィーラの憂鬱·1
少女ヴィーラの憂鬱·1Name少女ヴィーラの憂鬱·1
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FamilyBook, 少女ヴィーラの憂鬱
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Description私は世界が退屈だと思ったことはない。ただ面白い物事はすべて遥か遠くにあるだけなの。
——未知なる遠方に憧れる平凡な少女ヴィーラ。雄大な冒険の物語が静かに幕を開ける。
——百億の世界と百億の昼夜——
「たまに思うけど、この町つまらなすぎじゃない?」
デルポイに住む少女ヴィーラはまたつぶやいた。町の近くにある丘の斜面に横になった彼女は、目を瞑って初夏のそよ風を感じている。
「じゃ、どこならつまらなくない?」隣りにいる彼女の友達、少年サッチが問いかける。
ヴィーラは前屈をするような姿勢で上体を起こした。
「この星の海の向こうに、きっともう一つの星があると思う。そこにはすべての祈りと願いに応えてくれる神様がいて、願いを持つ人は神様のところへ向かうの。あと宇宙のどこかに世界の終わりと戦う星があって、その星には14名の戦乙女がいるって信じてる。彼女たちの美しく崇高な魂が儚く燃えているのよ……」
「君、変な小説を読みすぎだよ」
「ああああっ……ここって本当につまんない。何か面白いことないかな?」
「そう言えば、最近町に引っ越してきた人がいるけど……」
「そういう事じゃない!」
とは言え、ヴィーラはその人に挨拶しにいこうと思った。サッチは門限の事を思い出し、夕飯前に自宅へ帰ることにした。

……
ヴィーラは新しい住民の家の扉をそっと開ける。鍵はかかっていなかった。
「誰かいませんか?」
と、その時、突然リビングにある戸棚の影からメガネをかけた黒髪の少年が飛び出してきた。そして、彼と共に青い粘液を纏った触手も姿を現す。
「くっ、通すか——! おい、タール、どうして勝手に人を入れたんだ?」
黒髪の少年はヴィーラを軽く押しのけ、ドア近くにあった斧を持ち上げた。
「仕方ない、見られた以上はこうするしか——」
ヴィーラ、人生最大の危機か!?

少女ヴィーラの憂鬱·2

少女ヴィーラの憂鬱·2
少女ヴィーラの憂鬱·2Name少女ヴィーラの憂鬱·2
Type (Ingame)任務アイテム
FamilyBook, 少女ヴィーラの憂鬱
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Descriptionいつも退屈だと思うけど、これは別に憂鬱なんてない、14歳になったから。
とにかくヴィーラの冒険は、ここに幕を開ける!
——俺の庭は宇宙より広い——
「あんたに手伝ってもらうしかない」黒髪の少年は「エーク」と名乗った。彼はヴィーラに包丁を手渡す。
彼は棚の前に立ち、猛然と触手を切り刻み始めた。
「ドアを閉めろ、もし触手が攻撃を仕掛けてきたら、その包丁で身を守るんだ」そう言ったエークの眼鏡は青い粘液に染まっていた。「急げ! デルポイにこの邪神を降臨させてはいけない」
ヴィーラはドアを閉じる。 触手の猛攻をさばいているうちに、エークの背中には刺し傷が二箇所。幸いにも、エークの治癒魔法により傷は癒えた。
「ああ、実は言うと、俺は1000年生きているんだ。このドアは宇宙のありとあらゆるところに繋がっていてな。さっきのは大マゼラン雲の旧支配者だ、そこである物を拝借しようと思ったんだよ」エークの全身は粘液まみれだった、彼はヴィーラのスカートで眼鏡の汚れを拭き取る。「で、他に聞きたいことはあるか?」
「タールって誰?」ヴィーラは、あまり興味なさそうに尋ねた。
「あいつはカニバルキャッスルの悪霊だ。俺の支配下に入ってからは、ずっと執事を務めてくれている。どうして彼が、お前に親切なのかは謎だけどな」

ヴィーラの両親はずっと「人はいずれ自分の家庭を築く。遠方への憧れは永遠に叶わない」と口を酸っぱくして言ってきた。親友であるサッチは「君みたいな破天荒な子が遠方に嫁いだら、この町が寂しくなるな」と言った。
(サッチの場合、ただ単に貧弱だから、男友達にいじめられると思って言っただけかもしれない。)
「人間の精神は未熟だ、俺はお前たちを幼少期からその先へと導く必要がある」エークはヴィーラに誘いの手を伸ばした。「一緒に歌おう、そして青春を送るんだ」
オリオン座から永遠の魔神の城へ、時間の激流から星の海が輝く奥の奥まで……
「どれほど離れれば、それは遠方となる?俺の庭は宇宙と同じくらい広い」と彼が言った。
「遠方の定義は心とともに変わる」エークは続けて言う、「俺の心は宇宙よりちょっとばかし広いぞ」

少女ヴィーラの憂鬱·3

少女ヴィーラの憂鬱·3
少女ヴィーラの憂鬱·3Name少女ヴィーラの憂鬱·3
Type (Ingame)任務アイテム
FamilyBook, 少女ヴィーラの憂鬱
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Descriptionアンドロメダ座の帝国は広大な領土を持っていて、この銀河のほとんどを占領している。どの惑星にも、それぞれの悪魔と神々、海龍と怪獣がいるの。
「私はあなたのところで輝いている星々の一つ一つに対して、物語を考えたことがあるんだよ。」「そんなのありえないよ。ここから見えるアンドロメダ星雲は、月の五分の一の大きさしかないんだから。」
少女ヴィーラの冒険はまだまだ続く!
——孤星を盗んだ者——
「余はアンドロメダ座帝国の第二皇位継承者、名前は200文字以上。とりあえず、余のことはアンドロ·バジリクス姫と呼ぶがよい」可愛らしい少女が腕組みをしていた。先ほどの登場シーンを思い返しているのか、満足げに小さく「ふふふっ」と笑っている。
姫様がデルポイに来た目的は、エークと結婚するためだった。
「宇宙の四分の一にその異名を轟かせるあんたと結婚すれば、姉が即位した後の余の身が保障されたも同然」
「その、アンドロメダ座帝国ってどのくらいの大きさなの?」とヴィーラが聞く。
「居住可能な惑星は9000を超えてるかな」
——こいつ、そんなにたくさんの星を持ってるのに、私の光まで奪う気なの?

「ねえ、ヴィーラを傷つける気じゃないよね?」サッチは、巻物と惑星の天体儀を運ぶエークにおそるおそる尋ねる。
「もちろんだ。彼女は俺の助手に向いてると思ってな」荷物を置き、手についた汚れを落としながら言う。「お前、あいつのことが好きなのか?」
「ぼ、僕に、そんな気はないよ」サッチは1000年を生きた賢者に心を見透かされるのではないかと恐れ、視線をそらした。
すると、サッチの目にアルバムがたくさん詰め込まれた箱が映る。彼が何気なく何冊か手に取り中を見ると、そこには多種多様な美女たちがいた。
「あー、それか。そこに写っている女たちが、『私の唯一の愛をあなたに捧げるわ!』とか言ってきたんだが、本当に唯一だったんだか。どうせ過去にも、同じようなこと言ってきてるんだろうな」
その言い草にちょっとイラっとしたサッチは、どこで聞いたか覚えていない言葉をふと思い出し口にした。
「——君、そんなにたくさんの星を持っているのに、なんで僕の光まで奪うんだよ?」

少女ヴィーラの憂鬱·5

少女ヴィーラの憂鬱·5
少女ヴィーラの憂鬱·5Name少女ヴィーラの憂鬱·5
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FamilyBook, 少女ヴィーラの憂鬱
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Description星々を結ぶ道路や高速道路の脇ではピクニックをしてはいけない。たとえ神々の高速惑星移動船とぶつかっても自己責任。
ただの小さな村の書斎のようだが、扉をくぐれば宇宙や時間の好きな場所に行ける!神々とのランチ、時間との鬼ごっこ。ヴィーラの冒険は、ここから続く!
——神々の路上ピクニック——
エークが昼寝をしている間に、彼の従者たちの間で大きな戦いが起こった。
偉大な魔術師は様々な神や悪魔を降伏させ、自らの従者としている。エークは魔術師の第一人者であり、彼の従者の数は辞典の収録語数よりも多い。いったい誰が一番強い従者なのか?それを決めるため、従者である魔神たちの間で戦いが起きたのだ。
不幸にも、魔神たちは姫、サッチ、ヴィーラのことも従者だと思っていた。
エークが寝ていたのは2時間。その間に3つの星が滅ぼされた。

「余はなんで、あんたを守ってるのかな」姫が手を差し伸ばす、その横で大悪魔が眼球を失って地面へ倒れた。
アンドロメダ座帝国の支配種族は見た目こそ可愛いらしいが、その手の平には敗者や恋人の目を捕食するための2つの特殊な口がある。
「私たち、友達じゃないの?」ヴィーラは悲しそうに、顔についた血を拭った。
「うんうん、そうだよ」姫は照れくさそうに目をそらす、「前回のことで、あんたは余の唯一の友達になった。だから、さっきの言葉はヴィーラに言ったんじゃない」
「え——」サッチが巨龍の口にくわえられる。
「どうじゃ、降参か?」巨龍が老齢な声で聞いてきた、「自分たちは下衆で無能な輩じゃと認めて降参すれば、見逃してやろう」
「降参——降参するからっ!」サッチは大声で叫ぶ。
「たかがトカゲ風情が能書きたれないで。あんたよりうちのヤモリの方が厄介なんだから!」姫が指の関節をポキポキと鳴らす。
「僕は関係ないのにぃぃぃ——」サッチは巨龍と共に上空へと吹き飛ばされた。
アンドロメダ座の支配種族と古代巨龍の決着は一瞬でついた。

大人しく降参すれば、見逃してくれるって言ってたじゃん。
サッチはリタイアし、スリッパでエークを叩き起こした。ヴィーラも姫に守られて生き残ることができた。
「うわあ、無能の輩、見るだけで吐き気がする。下衆、近寄るな、話しかけるな、こっち見るな、同じ空気吸うな」姫のサッチへの態度はすこぶる冷たかった。

少女ヴィーラの憂鬱·9

少女ヴィーラの憂鬱·9
少女ヴィーラの憂鬱·9Name少女ヴィーラの憂鬱·9
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FamilyBook, 少女ヴィーラの憂鬱
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Description「ヴィーラはあんなに綺麗で、宇宙でも輝いているのに、私ときたら……」「この年代の男の子は女の子よりも小さく見える。」
青春にたどり着き、子供時代に別れを告げなければならない!今から主題を示しても遅くはない、少女ヴィーラは本当に憂鬱になり始めた!
——深海の断魂古神殿——
ヴィーラとサッチが成長するにつれ、4人の関係には微妙な変化が訪れていた。
「もう君の言い訳にはうんざり」サッチがエークに向かって言った、「たとえ君がヴィーラにそんな感情を持っていなくとも、ヴィーラは君と一緒にいたいと思ってる」
エークは遠方を象徴し、未知と珍しさの隠喩である。勇敢な鳥は一生巣を築くことがなく、恋慕の風と共に生きていく。
エークはサッチに答える、「どう考えても、1000年を生きた者じゃ年寄り過ぎて釣り合わないだろう」
「余の年齢とぴったりじゃん」と姫は嬉しそうにすすっと近寄ってきた。

勇気を出して告白しようとしたサッチに、残酷な運命が待ち受けていた。
エークとヴィーラが出会った最初の頃、古神からもらった古い剣のことを覚えているだろうか? あれはエークが運命の歯車を回すために手に入れた鍵であった——今、ヴィーラの指はこの剣に切られ、凶悪な古代のウィルスに感染し死んでしまった!

「君のせいだ!」サッチはエークの襟首を掴んだ。普段のエークならとぼけて笑うだろう——彼の性根は善良な老人なのだから。でも、今回はサッチの手をはらった。
「あんたは時間を巻き戻すことができるんでしょ? ヴィーラを助けて!」姫もエークへと嘆願する。
「お前らはわかっていない。過去を救えるのは未来だけだ。過去を変えるだけでは、ヴィーラのいない未来を救えないんだよ!」エークは血が滲むほど唇を噛む。

「あるところにこんな神話があった。白銀時代の人類は幼少期が長く、それは200年もあったという。故に儚い成人期は苦難に満ちていた」
他の人にとって、幼少期はすでに終わりを告げているが、青春はまだ手が届かない先にある。
ヴィーラのいない『少女ヴィーラの憂鬱』、また次回で!

少女ヴィーラの憂鬱·10

少女ヴィーラの憂鬱·10
少女ヴィーラの憂鬱·10Name少女ヴィーラの憂鬱·10
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FamilyBook, 少女ヴィーラの憂鬱
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Description「もういいよ。私たち、家に帰りましょう……私から一番遠く離れた場所、それはあなたのいるデルポイなの。」
今さらの説明だが、小さな村デルポイはギリシャ神話の世界の中心。『少女ヴィーラの憂鬱』、無事完結……か?
——少女ヴィーラの憂鬱——
ヴィーラを生き返らせるため、サッチ、エーク、姫は20年に渡り壮大な冒険を繰り広げた。戦ってきた相手は地獄大君から星を呑み込むスタードラゴン。3人はついでに2つの星系と銀河帝国をなんやかんやで救い、星にとって極めて害悪な4種の害虫を駆除した。
蘇ったヴィーラは、歴戦の宇宙英雄サッチに抱き抱えられていた。
二十年の時の流れは、アンドロメダ座の支配種族にとって大したものではない。姫は相変わらず可愛かった。ただ彼女の表情は微妙なものであった。心からの喜びだけではなく、そこには悲しみの色も混じっていた。
サッチは目を一つ失い、体は強靭に、身長もかなり伸びていたが、相変わらず泣き虫であった。彼の涙でヴィーラの肩が濡れている。だが、サッチはもう簡単には諦めないと心に誓っていた。
エークには何の変化もない、いつものように淡々と笑っている。
「俺はただの時間の響きだ」エークは儀式の準備を進める。「以前言ったように、過去は未来を変えられない。予定調和の法則は俺の手には少し余る。だが無限の可能性に満ちた未来なら救えるかもしれない」

エークは、サッチを旅に出た頃の20年前の少年の姿に戻した。4人はまるで何事もなかったかのようにしていたが、もうあの無邪気な日々には戻れないことを誰もがわかっていた。
「幼少期を失わせてしまってごめん。ほら行こう、これはお前が過ごすべきだった青春だ」エークはサッチにこう言った。
「君のために宇宙で不思議なことを経験してきた」サッチは運命の人に向かい、勇気を振り絞って言った、「君がいなければ、僕は青春を過ごすことができない」

返事はいったいどうなるか!
作者は9巻目までの印税で夜遊びに行っています。星のどこかで見かけたら、ぜひ催促してください。

少女ヴィーラの憂鬱·4

少女ヴィーラの憂鬱·4
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FamilyBook, 少女ヴィーラの憂鬱
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Description輝いているのは金ではなく、失恋で粉々になった心かもしれない、という言葉がある。
とにかく、空に輝く星は金ではないし、ほとんどの人の心はガラスでできていない。
こうして、ヴィーラの冒険は新章に突入する!
——光り輝く全てのものは——
「この写真に写っている人達、みんなとても綺麗ね」ヴィーラはエークの箱を持ち上げた。箱の中はアルバムでいっぱいだった。
「綺麗じゃなければ、記念に写真を残そうだなんて思わないよ」
エークは何か包み隠すことはしない。彼は千年以上生きている宇宙の賢者だ。女の子が簡単に気付く事も、些細な事で癇癪を起こす事も知っている。エークは決して女の子を騙さない、男性の鑑だ。
「星の形をしたダイヤを作り出せるのは、星の存在を知ってるからだ」とエークが続ける。「でも、宇宙で光り輝く星達は、誰の所有物でもない。だから、それらを奪う事は出来ないのだよ」
ヴィーラは意味が分からず「何を言っているの?」と首を傾げる。
「この場にいないお馬鹿さんに言っているんだよ。気にしないで、人間が若すぎるだけなんだ」

「君とエークの仲を取り持ってやるよ」と、サッチはアンドロメダ座帝国の姫に向かって大声で言った。
「は?」
「僕はヴィーラが好きなんだ。だから——」
「気持ち悪い。くだらない。耳が汚れるから口を開かないで。ヴィーラはもう余の友達よ。あなたのような意気地なしには渡せないわ」
「あ、あぁ……」

少女ヴィーラの憂鬱·6

少女ヴィーラの憂鬱·6
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FamilyBook, 少女ヴィーラの憂鬱
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Descriptionかつて偉大な学者は、帝国の祭りについての本を書こうとした。
だが、その帝国では毎日祭りを行う伝統があり、莫大な作業量に彼は6ヶ月で逃げ出してしまった。
作者である私は当然、みんなを裏切るようなことはしない!
——数多のお祭りへ捧ぐ——
近頃は大事件がたくさん起きたが、それらは全て宇宙での出来事に過ぎない。今、比較的に平凡な出来事が始まろうとしている。もうすぐ、この小さな町でお祭りがあるのだ。
「今度は、私がこの町を二人に紹介する番かしら?」ヴィーラは手料理を姫とエークの前に並べる。
以前の宇宙冒険では、姫とエークに教えられてばかりだった。ヴィーラが何か二人に披露できる知識があるとするなら、故郷に関する事しかないだろう。
「……それで、王様の使者、勇敢な騎士ホフマンは西に向かい、大陸を2つ、そして海と河を越えたの。その時、偉大な賢者である東の巫女、浮萍夫人は故郷を出て、薄暗い国の国境を越えた。そして、二人はここで出会ったの」
「そうなのね。すごいわ」姫は大袈裟に声をあげる。このおとぎ話に全く興味がない事を、ヴィーラには悟られたくなかったのだ。
「つまり、ここは丁度王の都であり、この星の対称点であっただけの話だ」エークは適当な突っ込みを入れた。
「あはははは、言われてみればそうね」ヴィーラは後ろ髪を触りながら笑う。

「私ずっとここを離れたいって思ってたの。でも結局、私はここしか知らないのよ」祭りの前夜、突然その事に気付いたヴィーラは、サッチの前で泣き出してしまった!
「この馬鹿! 何ヴィーラを泣かせてるのよ!」飛び蹴りと共に登場した姫によって、サッチは飛んで行った。

少女ヴィーラの憂鬱·7

少女ヴィーラの憂鬱·7
少女ヴィーラの憂鬱·7Name少女ヴィーラの憂鬱·7
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FamilyBook, 少女ヴィーラの憂鬱
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Description宇宙の片隅にある星団。居住可能な星は少なく、星海操帆士と海賊の楽園だった。
宇宙には左舷も右舷もない。恒星に着けた側を星舷と呼ぶだけだ。
少女ヴィーラの冒険は、方向感覚も消え去る星海に続く!
——星海戦記——
「再び太陽を灯す事は難しくない。でも、これはアンドロメダ座帝国はそれを望まないだろう」エークはパニックになっているヴィーラに言い聞かせた。
「つまり、姫がサッチを誘拐したって事?」考え込んでいたヴィーラが、驚きの声を上げる。
「どう考えたらそうなるんだ。僕が言いたいのは、姫とサッチを捕らえられるのは、アンドロメダ座帝国しかないという事だ」エークは振り返り、星系の数千もの生命体と向き合う。
暫くの沈黙の後、エークは声を張り上げた。「星に生きるもの達よ。俺は聖王リバンニに招かれ、残り少ない恒星に火を継ぎ足すために来た。だが、アンドロメダ座帝国をそれをよく思っていないらしい。俺の友人は捕らえられてしまった」
「お前は二人の命をここにいる皆の者に託すというのか」聖王リバンニは聖座から立ち上がる。「ならば、私はなんのために、星海諸島を統一するのだ?」

最終的に、聖王は決死の覚悟で単騎突入し、アンドロメダ座帝国の刺客を打ち負かした。姫とサッチを救い出した後、彼女はエークと短い会話を交わした。
「まさか、アンドロメダ座帝国の支配種族を倒すとは。あいつらは強い。聖王の試練である聖龍討伐を成し遂げたのも納得だ」エークは称賛の言葉を口にする。
「実は私がその聖龍だ。リバンニの肉体と融合した後、私は彼女にずっと従っている」
「おぉ……」エークは驚きの声を漏らす。
「そう言えば、あいつが第二皇女のお気に入りなのか? 私が部屋に入ったとき、二人はちょうど……」
「なんだと!?」エークは本気で驚愕の声を上げた。

少女ヴィーラの憂鬱·8

少女ヴィーラの憂鬱·8
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Description女の子たちのパジャマパーティは、男子禁制である!可愛い女の子は黄金時代の神々と同じように、神聖なものなのだ。
ヴィーラ、姫、聖王リバンニ、そしてスターワームの雌脳ウルの4人の少女による夜の内緒話!
——女の子達は——
「だから全部誤解なんだよ。僕はあの時食べられる所だったんだ」サッチは説明する。
「食べようとしていたのではない」エークは眼鏡を押し上げた。「アンドロメダ座帝国の支配種族の手の平には、眼球を捕食する器官がある」
「見た事ある……ヤツメウナギの口みたいだった」サッチは己の言葉に、体をブルっと震わせる。
「最後まで聞け」エークは己の目を指さそうとして、誤って眼鏡に指紋をつけてしまった。彼は眼鏡を外し、改めて左目を指す。「彼らが眼球を食べる時は、二つの意味合いを持つのだ。一つは服従……」
そして今度は右目を指さす。「……もう一つは恋慕」
サッチは自分の両目に触れながら、自分に向けられたのはどっちの感情なのかを考えた。
「正直、姫自身もこの二つの違いを理解していないだろう。姫に服従する者、姫が征服したもの、姫を愛する者——姫の目にはどれも同じように映っている。皇室の権力争いで、己に危害を与えない存在でしかない」
「それでアンドロメダ座帝国の刺客は、姫も誘拐したのか。まさか、裏には他の継承者がいるとか!?」
「俺は継承者争いに巻き込まれるのはごめんだ。だから、あいつはお前が支えてやってくれよ」
「だーかーらー! 僕とあいつはそんな関係じゃないって。あいつ、僕の事が大っ嫌いなんだぞ?」

同時刻、女の子達は何を話していたかって? それは永遠の謎さ。

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